「PCゲームを快適にプレイしたいけど、どのグラフィックボード(グラボ)を選べばいいかわからない…」
「スペック表を見てもチンプンカンプン…」
この記事では、ゲーム用グラボの選び方を、専門用語をできるだけ使わずに分かりやすく解説する。
性能の見方から、自分のプレイスタイルや予算に合わせたおすすめグラボまで、この記事を読めばきっと自分にぴったりのグラボが見つかる。
【超入門】グラフィックボード(グラボ)って何? ゲームになぜ必要なの?
グラボは、パソコンの映像をモニターに映し出すための重要なパーツだ。特に、3Dグラフィックスを多用するゲームでは、映像を美しく、そして滑らかに表示するために高性能なグラボが不可欠になる。
ゲームの映像は、膨大な量の計算処理によって作られている。グラボは映像処理を専門に行うことで、CPUの負担を減らし、ゲーム全体の動作をスムーズにしてくれるのだ。高性能なグラボほど、高画質設定でもカクつきなく、滑らかな映像(高フレームレート)でゲームを楽しめるようになる。
パソコンによっては、CPUに簡易的なグラフィック機能(内蔵グラフィックス)が搭載されている場合がある。しかし、あくまで文書作成や動画視聴など、基本的な作業向けであり、多くのPCゲームを快適に動かすには力不足なのだ。
グラボ性能の基本:どこを見ればいい?
グラボの性能を知るために、最低限チェックしておきたいポイントを紹介する。
重要スペック解説(初心者向け)
たくさんのスペック項目があるが、初心者がまず注目すべきは以下の点だ。
- グラボ名(メーカーと型番)
- VRAM(ビデオメモリ)
- その他スペック
グラボ名(メーカーと型番)
グラボの型番の意味が分かれば、型番を見ただけでおおよその性能が分かるようになる。
ここでは、グラボメーカーとして主流なNVIDIAのグラボ名(例:RTX5070Ti)で解説する。
- RTX:シリーズ名(現在新品で扱われているのはRTXのみなので気にする必要性は薄い)
- 50:世代(数字が大きいほど新しい)
- 70:グレード(数字が大きいほど高性能。60がミドル、70がミドルハイ、80/90番台がハイエンド)
- TiやSuper:同ナンバー内の強化版モデル
まずは「世代」と「グレード」の数字を見て、大まかな性能を把握することが重要だ。
NVIDIA製グラボの型番の見方を詳しく知りたい人は、以下の記事を読むと良い。
›NVIDIA製グラボの型番の意味や見方を解説
VRAM(ビデオメモリ)
グラボ専用のメモリで、ゲームのテクスチャ(物体の表面の模様など)や解像度といった映像データを一時的に保存する場所だ。
VRAM容量が不足すると、高解像度や高画質設定でゲームをプレイした際に、動作がカクついたり、テクスチャの表示がおかしくなったりすることがある。
VRAM容量の目安は以下の通り。
- フルHD (1920×1080) → 8GB以上
- WQHD (2560×1440) → 12GB以上
- 4K (3840×2160) → 16GB以上
あくまで目安であり、ゲームによってはより多くのVRAMを要求される場合もあることに注意。
その他スペック
コアクロック、メモリクロック、メモリバス幅など、細かいスペックもあるが、初心者の人は「基本的に数字が大きいほど高性能」と覚えておけば良い。
詳細な比較は、後述のベンチマークスコアを参考にするのがおすすめだ。
性能比較の目安:ベンチマークスコア
「型番やスペックだけだと、具体的な性能差が分かりにくい…」という時に役立つのがベンチマークスコアだ。
ベンチマークスコアとは、専用のソフト(例:3DMark)を使ってグラボに負荷をかけ、その処理能力を数値化したものだ。グラボ同士の平均的な力関係を知ることができる便利な数値と言える。
ただしベンチマークスコアはあくまで目安だ。測定環境やソフトによって数値は変動するし、実際のゲームでの快適さは、ゲームの最適化具合にも左右される。
すべてのゲームでベンチマークスコア通りのパフォーマンスとなるわけではないことには注意したい。
【4ステップ】失敗しない!ゲーム用グラボの選び方
具体的に自分に合ったグラボを選ぶためのステップを解説する。
- プレイしたいゲームを決める
- 目標の解像度とフレームレートを決める
- 予算を決める
- 他のPCパーツとのバランスを確認
ステップ1:プレイしたいゲームを決める
まず、自分がどんなゲームをプレイしたいのかを明確にしよう。
プレイしたいゲームが決まっているなら、そのゲームの公式サイトで「推奨スペック」を確認するのが最も確実だ。快適にプレイするなら、「推奨動作環境」に記載されているグラボか、それ以上の性能を持つグラボを選ぶのがおすすめだ。
- 比較的軽いゲーム:VALORANT, League of Legends, Apex Legends (低~中設定)のようなeスポーツ系ゲーム
- 比較的重いゲーム:Cyberpunk2077, Starfield, Microsoft Flight Simulatorのようなグラフィックの奇麗さが売りのRPGなど
ただし、プレイしたいゲームが低性能なグラボで事足りる場合は、注意が必要だ。
例えばVALORANTは非常に軽いゲームであり、ローエンドクラスのグラボでも高フレームレートを出せる。しかしそこでローエンドクラスのグラボを選んでしまうと、「この新作ゲームをやりたい」と思ったときに性能不足で快適にプレイできない可能性がある。
現時点でプレイしたいゲームだけに囚われないほうが良い。
ステップ2:目標の解像度とフレームレートを決める
次に、どのくらいの画質とフレームレートでゲームをプレイしたいかを考える。自分が使っている(または使う予定の)モニターの性能にも関わってくる。
解像度:画面のきめ細やかさ
- フルHD (FHD / 1920×1080):現在最も一般的な解像度。多くのグラボで快適に動作させやすい。(例:RTX4060,4060Ti)
- WQHD (2560×1440):フルHDより高精細。バランスの取れた解像度として人気上昇中。RPG系ゲーム向け。ミドルレンジ以上のグラボが必要。(例:RTX5070,5070Ti)
- 4K (3840×2160):非常に高精細で美麗な映像が楽しめる。RPG系ゲーム向け。ハイエンドクラスのグラボが必要。(例:RTX5080,5090)
フレームレート(fps)
フレームレートとは1秒間に表示される画像の枚数のことだ。数値が高いほど、映像が滑らかに見える。
- 60fps:eスポーツ系ゲームでは最低限の数値。RPG系ゲームでは最適な数値。
- 144fps:eスポーツ系ゲームでは定番の数値。RPG系ゲームではやや過剰な数値。
- 240fps:eスポーツ系ゲームでは、競技的にプレイしている人向けの数値。RPG系ゲームでは必要ない数値。
目標設定の目安
- フルHD/60fps:RTX4060など
- フルHD/144fps以上:RTX4060Tiなど
- WQHD/60fps:RTX5070など
- WQHD/144fps以上:RTX5070Tiなど
- 4K/60fps:RTX5080など
プレイするゲームによってフレームレートは大きく変わることに注意。
ステップ3:予算を決める
グラボはPCパーツの中でも高価な部類に入る。ステップ1、2で考えたプレイスタイルと照らし合わせながら、無理のない範囲で予算を決めよう。
- 最新の高性能モデルほど高価
- 世代が少し前のモデルや、エントリークラスでも、多くのゲームは十分楽しめる
- 予算内で、自分にとって最高のパフォーマンスを発揮できるグラボを探すのがポイント
以下はエントリー~ハイエンドクラスまでの現在主流なグラボだ。
グラボ価格 | 搭載PCの価格 | |
---|---|---|
RTX5090 | 39.38万円~ | 80万円~ |
RTX5080 | 19.88万円~ | 50万円~ |
RTX5070Ti | 14.98万円~ | 35万円~ |
RTX5070 | 10.88万円~ | 25万円~ |
RTX4060Ti | 6.98万円~ | 21万円~ |
RTX4060 | 5.28万円~ | 20万円~ |
※搭載PCの価格は、管理人が調べた限りのBTOでの価格を参照
ステップ4:他のPCパーツとのバランスを確認
高性能なグラボを選んでも、他のPCパーツの性能が低いと、グラボの性能を十分に引き出せない「ボトルネック」という現象が顕著に起こることがある。
PCを自作する場合はボトルネックに気を付ける必要があるが、BTOではボトルネックが小さくなる構成にしてくれているので、気にする必要はない。
›【これで完璧】初心者でも失敗しないBTOゲーミングPCの選び方を徹底解説
- CPU:グラボの性能に見合ったCPUを選ぼう。極端に古いCPUだと、高性能グラボの足を引っ張ってしまう。
- 電源ユニット:グラボは消費電力が大きいパーツだ。PC全体の消費電力に対して、十分な容量を持つ電源ユニットが必要となる。また、高性能なグラボは「補助電源コネクタ」が必要になる場合が多いので、電源ユニットに適切なケーブルがあるかも確認しよう。
- PCケース:物理的にグラボがPCケースに収まるか、サイズ(特に長さ)を確認しよう。大型の高性能グラボは、小型のPCケースには搭載できない場合が多い。
解像度別おすすめグラフィックボード
解像度別に、おすすめのグラフィックボードを紹介する。
- フルHDでプレイする → RTX4060Ti
- WQHDでプレイする → RTX5070
- 4Kでプレイする → RTX5070Ti
おすすめ1:フルHD向けのRTX4060Ti
フルHDゲーミング向けのグラボとして、RTX4060Tiがおすすめだ。RTX4060TiはフルHD最高設定で60fpsを出せる性能であり、フルHD適性が非常に高い。
1ランク下のRTX4060だと60fpsを下回ることもしばしばある。1ランク上のRTX5070は、フルHDだとややオーバースペックだ。
ゲーム配信や、配信の切り抜きを作る程度の動画編集であればRTX4060Tiでも余裕であり、意外にも幅広いことに使用できる。
初心者でも性能を持て余しにくいという観点から見ても、RTX4060Tiは非常におすすめできる。
›RTX4060Ti搭載のおすすめゲーミングPCをケース重視で紹介
おすすめ2:WQHD向けのRTX5070
WQHDゲーミング向けのグラボとして、RTX5070がおすすめだ。
RTX5070はWQHD最高設定で60fpsを出せる性能であり、WQHD適性が非常に高い。1ランク下のRTX4060Tiだと、WQHD60fpsは出せないことが多いのだ。
さらにRTX5070は12GBのGPUメモリを搭載していて、汎用性がかなり高い。画像生成AIなど、GPUメモリが多いほど作業効率が上がる用途で力を発揮できる。
幅広い用途で使う人には、RTX5070がおすすめだ。
›RTX5070搭載のBTOゲーミングPCをケース重視で紹介
おすすめ3:WQHD~4K向けのRTX5070Ti
RTX5070TiはWQHD向けのグラボだが、4Kにも対応できることがあるほどの性能だ。
4Kゲーミング向けのグラボはRTX5080以上だが、価格が非常に高い。RTX5070Tiであれば比較的リーズナブルであり、4K性能もまずまずだ。
さらにRTX5070Tiは16GBのGPUメモリを搭載していて、RTX5070よりさらに汎用性が高い。
RTX5070のWQHDゲーミング性能や汎用性に満足できないなら、RTX5070Tiをおすすめする。
›RTX5070Ti搭載のBTOゲーミングPCをケース重視で紹介
グラボ購入時の注意点
最後に、グラボを購入する際の注意点をいくつか挙げておく。
- 新品と中古品:中古品は安価だが、前の所有者の使用状況が不明で、保証がない(または短い)リスクがある。初心者の人は、保証がしっかりしている新品を選ぶのが安心だ。
- 保証期間:メーカー保証の期間を確認しよう。
- 冷却性能:高性能なグラボほど発熱が大きくなる。冷却ファンが3つ付いているモデルや、ヒートシンクが大きいモデルは冷却性能が高い傾向にある。PCケースのエアフロー(空気の流れ)も重要だ。
- 出力端子:モニターと接続するための端子(HDMI, DisplayPort)の種類と数を確認しよう。
まとめ:自分にぴったりのグラボを見つけてゲームを楽しもう!
この記事では、ゲーム用グラボの選び方について、初心者向けに解説した。
- グラボはゲームの映像を綺麗に、滑らかにする重要パーツ
- 性能はGPUの型番(世代とグレード)とVRAM容量をまずチェック
- ベンチマークスコアは性能比較の目安になる
- 選び方の4ステップ:「プレイしたいゲームを決める」「目標の解像度とフレームレートを決める」「予算を決める」「他のPCパーツとのバランスを見る」
- 自分の目的と予算に合わせておすすめモデルをチェック
- 購入時は保証や冷却性能、サイズも確認
グラボは決して安い買い物ではないが、自分に合ったグラボを選ぶことで、PCゲームの世界は格段に広がる。この記事を参考に、ぜひ自分にぴったりのグラボを見つけて、快適なゲームライフを送ってほしい。
BTOを利用すれば、グラボ以外のパーツにおいても自分に合った構成のゲーミングPCを見つけやすい。特にPC初心者にはBTOを利用をおすすめする。
›【これで完璧】初心者でも失敗しないBTOゲーミングPCの選び方を徹底解説