PC初心者にとって、ゲーミングPCは謎に高額なため、普通のPCと何が違うのかと疑問に思うことが多い。PCに何十万円もかける意味が分からないという人もいるだろう。
この記事では、ゲーミングPCと普通のPCとの違いや、ゲーミングPCがなぜ高額なのかについて解説している。
この記事を読めば、どちらのPCを選ぶべきなのかを判断でき、無駄な買い物をして性能を持て余してしまう事態を防ぐことができる。
ゲーミングPC・普通のPCとは?
ゲーミングPCや普通のPCに定義はないが、一般的には「グラフィックボード」を搭載しているPCをゲーミングPCと呼び、搭載していないPCを普通のPCと呼ぶ。
グラフィックボードとは映像処理に特化したパーツであり、「グラボ」と略されることが多い。ゲーミングPCはグラボを搭載しているため、美麗グラフィックのゲームを快適に遊べるし、高解像度の動画編集も快適に行える。
「ゲーミングPC=高性能」というイメージを持っている人は多いと思うが、グラボを搭載していることによって映像関連のパフォーマンスが高いというわけだ。
ゲーミングPCと普通のPCの違いを比較
ゲーミングPCは高度な作業に用い、普通のPCは日常的な軽い作業に用いるという目的の違いから、両者には様々な違いがある。
グラフィック性能が違う
ゲーミングPCは映像処理特化のグラボを搭載していて、普通のPCはCPUに付属している内蔵グラフィックを使用しているため、グラフィック性能が全く違う。
OfficeやYouTube閲覧などの普段使いであれば内蔵グラフィックで十分に描画可能だが、ゲームや動画編集などの映像の質が重視される用途の場合、グラボが必要となる。
以下は、グラボと内蔵グラフィックの性能差を示した表だ。
RTX4060(グラボ) | Intel UHD Graphics 770(内蔵) | |
---|---|---|
Fortnite(パフォーマンスモード) | 450fps以上 | 100fps前後 |
Cyberpunk2077 | 60fps以上(1080p/最高設定) | 30fps以下(720p/低設定) |
RTX4060は現行で主流のグラボの内エントリークラスに位置づけられ、使用している人が多いグラボだ。RTX4060はFortniteで240fpsを越える十分なフレームレートを出している。美麗グラフィック代表のCyberpunk2077に関しても60fpsを出せていて、快適にプレイできるラインを越えている。
一方で内蔵グラフィックは、超軽量モードのFortniteですら100fps前後しか出ていない。Cyberpunk2077に至っては、解像度と画質設定を落としても30fpsにも満たず、まともにプレイできる状態ではない。
ゲームをプレイしたいなら、エントリークラスでも良いので、グラボが必要であることがわかるはずだ。
CPU性能が違うことがある
ゲーミングPCと普通のPCは、搭載するCPUのグレードが異なることが多い。
ゲーミングPCは最低でもCore i5であり、Core i7やCore i9という上位のグレードを搭載していることも珍しくない。高度な用途を想定しているため、高性能なCPUを搭載するのだ。
一方で普通のPCは、Core i3やCore i5という下位のグレードを搭載していることが多い。Officeなどの普段使いで高性能なCPUは全く必要なく、下位のグレードで十分だからだ。
メモリ容量が違うことがある
ゲーミングPCに搭載するメモリは最低でも16GB、最近は32GBを選ぶ人も多い。一方で普通のPCのメモリは8GBや16GBが主流だ。
メモリとはデータを一時的に保存するパーツであり、CPUの手元にあるメモリにデータを置いておくことで、CPUが効率的に作業を行える。
ゲーミングPCでは高度な作業を行うため、必要とするデータ量が多く、多くのメモリ容量を必要とする。普通のPCで行う作業の場合は必要とするデータ量が少ないため、メモリ容量も少なくて良いというわけだ。
冷却性能が違う
ゲーミングPCは高性能なCPUやグラボを搭載し、高負荷な作業を長時間行うことも多いため、パーツから発せられる発熱量も多くなる。熱はパーツの天敵なので、ゲーミングPCは高い冷却性能を必要とする。PC内部に熱がこもらないように大きなケースを採用したり、排熱効率の優れた水冷式のCPUクーラーを採用したりするのだ。
普通のPCはCPUの発熱が少なく、グラボもないため、最低限の冷却性能で事足りる。例えば、冷却力の強いCPUクーラーを別途用意するのではなく、CPU付属の空冷クーラーを採用していることが多い。
主流なタイプが違う
ゲーミングPCはデスクトップ型が主流なのに対し、普通のPCはノート型が主流だ。
ゲーミングPCは熱がこもらないようにという理由に加え、そもそも外出先でゲームをプレイすることが少ないため、デスクトップが好まれる。ゲーミング用途とノートは相性が悪いのだ。
普通のPCで行う作業は外出先でもできる上に、消費電力が少ないためバッテリー駆動で長時間作業できる。ノートと相性が良い。
電源ユニットの容量が違う
ゲーミングPCにはグラボが搭載されていて消費電力が多いため、容量の大きい電源ユニットを搭載している。最低でも600W、高性能なグラボを搭載している場合だと1000W以上を選ぶケースが多い。
普通のPCはグラボが搭載されていないため、消費電力も少ない。400Wもあれば十分だ。
ケースデザインが違う
ゲーミングPCはシンプルなデザインのケースもあれば、奇抜なデザインのケースもある。例えば、2面が強化ガラスで覆われていて内部が見えるようになっていたり、近未来的なデザインだったりする。最近だと白いケースも一般的だ。
普通のPCはビジネス用途に適した落ち着いたデザインであり、黒いケースが主流となっている。
価格が違う
ここまで見てきたように、ゲーミングPCは性能や容量が普通のPCを上回っているため、当然価格も高い。特に一番の違いであるグラボは非常に高額だ。
現在主流なグラボは、最安でも5万円弱、最も高性能なものだと50万円弱もする。単純に考えても、ゲーミングPCと普通のPCとで5万円以上の差があるというわけだ。
実際、ゲーミングPCは安くて15万円程度で、20万円は用意しておいた方が良いと言われるほどであり、一方で普通のPCは10万円前後が相場だ。
ゲーミングPCと普通のPCのどちらを選ぶべきか
ゲーミングPCと普通のPCは想定される用途が明確に違うため、何をしたいのかによって、どちらを選ぶべきかがはっきりと分かれる。
ゲームやクリエイティブ作業ならゲーミングPC
ゲームやクリエイティブ作業といった、高度な映像処理能力が求められる作業をしたい場合は、ゲーミングPCを選ぶべきだ。グラボを搭載していない普通のPCの場合、ソフトがそもそも起動しないという事態もあり得る。
特にクリエイティブ作業においては作業効率が重要になることも多いため、処理速度の速い高性能なゲーミングPCを選ぶ価値が高い。
一般的な作業だけなら普通のPCを選ぶべき
Officeやメール作成、ネットサーフィンなどの一般的な用途で使うつもりなら、普通のPCで十分だ。一般的な用途ではグラボの映像処理能力を全く活かせず、宝の持ち腐れになってしまう。
また、ゲームによっては普通のPCでもプレイ可能だ。最近主流の3DグラフィックのゲームだとゲーミングPCが必須だが、ブラウザゲームなどの2Dグラフィックのゲームであれば、普通のPCでも快適にプレイできることが多い。
PS5+普通のPCという選択肢もある
「ゲーム+一般的な用途」が目的でゲーミングPCを考えている場合、PS5+普通のPCという選択肢もある。
PS5は非常に高性能なゲーム機であり、型落ちのゲーミングPC程度の性能を誇る。普通にゲームをプレイする分には十分な性能であり、eスポーツ系ゲームを競技的にプレイする人以外は困ることが少ない。
ゲーミングPCと普通のPCとで迷っている人がガチゲーマーとも思えず、ゲームだけが目的ならPS5でも十分だということは知っておきたい。
ゲーミングPCも普通のPCもBTOショップでの購入がおすすめ
ゲーミングPCにしろ普通のPCにしろ、PCを買うならBTOショップの利用がおすすめだ。
BTO(Build To Order)とは受注生産のことで、BTOショップでは自分の用途に合わせた構成にカスタマイズできる。例えば標準構成のメモリが16GBのところを、追加料金を払えば32GBにアップグレード可能だ。自分の求める完成品を探すのは難しいが、BTOショップであれば求めるPCになるようにカスタマイズできる。
BTOショップによっては普通のPCを取り扱っていないこともあるが、多くのショップではゲーミングPCと普通のPCの両方が扱われている。
ゲーミングPCや普通のPCに関するよくある質問
ゲーミングPCや普通のPCに関するよくある質問と回答をまとめた。
- ゲーミングPCはゲーム以外もできる?
- 普通のPCでゲームはできる?
ゲーミングPCはゲーム以外もできる?
ゲーミングPCは「高度な映像処理能力を持ち、美麗グラフィックが売りのゲームも快適に動作するほどのPC」であり、ゲーム専用のPCという意味ではない。OfficeやYouTube閲覧などの一般的な用途にも使える。
普通のPCでゲームはできる?
現在主流な3Dグラフィックのゲームは、普通のPCではプレイできないことがほとんどだ。3Dグラフィックは処理量が膨大であり、普通のPCのグラフィック性能では太刀打ちできない。流行りのFPSや、美麗グラフィックが売りのRPGをプレイしたいならゲーミングPCが必要だ。
一方で、2Dグラフィックのゲームであれば、普通のPCでもプレイ可能なことが多い。2Dグラフィックは処理量が少なく、普通のPCのグラフィック性能でも十分に描画可能だからだ。ただし流行りのゲームの大半は3Dグラフィックのゲームであることには注意したい。
まとめ:自分の用途に合わせたPC選びが重要
この記事では、ゲーミングPCと普通のPCの違いを説明し、自分の用途に合わせたPC選びが重要であると解説した。
- ゲーミングPCと普通のPCの最大の違いは「グラフィックボードを搭載しているかどうか」だが、細かい違いが他にもたくさんある
- ゲームやクリエイティブ作業が目的ならゲーミングPCを選ぶべき。一般的な用途が目的なら普通のPCで良い
- ただ単にゲームをプレイしたいだけならPS5という選択肢もある
- PCを買うならBTOショップでの購入をおすすめする
PCに馴染みがなく、詳しい知識を持っていないという人も多い。しかしPC選びで損をしないためには、知識を付けた上で自分に合った性能の選択が重要だ。BTOショップで、自分の用途に合ったPCを手に入れよう。