初めてゲーミングPCを買おうとしている人は、グラボの型番の意味が分からずに心が折れそうになることも多い。数字やアルファベットの羅列なので、意味が分からないのは当然だろう。
この記事では、NVIDIA製グラボの型番の意味や見方を解説する。
この記事を読めば、グラボの型番にビビらなくなるだけでなく、型番を見るだけでそのグラボのおおよその性能を知ることができるようになる。
NVIDIA製グラボの型番の意味や見方を解説

例えばRTX4060Tiの場合、「RTX」「40」「60」「Ti」の4つに分解できる。
NVIDIA GeForce RTX4060Tiの場合 | |
---|---|
NVIDIA | 製造メーカー。 AMDというメーカー製のグラボもあるため、区別しておこう。 |
GeForce | ブランド。 NVIDIAならGeForce、AMDならRadeonというブランド名。 |
RTX | 等級。 RTXとGTXの2種類をよく見かけるが、現在ではRTXが圧倒的に主流なので、あまり気にする必要はない。 |
40 | シリーズ。世代。 数字が大きいほど新しいシリーズであり、性能や機能で優れる。基本的には10ずつ大きくなる。最新は50。 |
60 | グレード。用途。 数字が大きいほど高性能。60、70、80、90がある。(一応50もある) |
Ti | 接尾辞。何もつかない(無印)の場合もある。 序列は、無印<Super<Ti<Ti Super。 |
RTX4060Tiであれば、比較的新しいシリーズであり、フルHD向けの中でも性能が高いグラボであることが型番からわかるのだ。
GTXやRTXはグラボの等級を表す
BTOではRTXが圧倒的に主流であり、GTXの取り扱いはほぼない。GTXで最高性能のGTX1080Tiですら、現在主流なグラボの下位モデルであるRTX4060より低性能だ。
GTXを見る機会はほぼないので、RTXだけ知っておけば良い。
GTXとRTXは性能だけでなく機能面でも違いがある。RTXのみ、「レイトレーシング」「DLSS」に対応している。
レイトレーシングとは光の入り方を現実に近づけることで、よりリアルな描画をする機能だ。例えば水溜まりに周りの風景が映り込むようになる。ただしかなり重い処理であり、フレームレートが上がりにくい。DLSSと併用することが多い。
DLSSとは機械学習によって効率的に描画を行うことで、負荷を軽減してフレームレートを向上させる機能だ。重いゲームを最高設定でプレイするときや、WQHD・4Kといった高解像度でプレイするときに役に立つ。
上二桁の数字はグラボのシリーズを表す
番台(販売開始の年) | シリーズ | 例 |
---|---|---|
5000番台(2025年) | RTX50シリーズ | RTX5080 |
4000番台(2022年) | RTX40シリーズ | RTX4090 |
3000番台(2020年) | RTX30シリーズ | RTX3080 |
1600番台(2019年) | GTX16シリーズ | GTX1650 |
2000番台(2018年) | RTX20シリーズ | RTX2080 |
1000番台(2016年) | GTX10シリーズ | GTX1080 |
900番台(2015年) | GTX900シリーズ | GTX960 |
数字が大きいほど新しく、機能や性能で優れる傾向にある。下二桁が同じであれば、上二桁を見るだけでどちらのグラボが高性能なのかがわかる。(例:RTX4060>RTX3060)
新しいシリーズが発売されると、古いシリーズは徐々に生産終了となる。現在だと、RTX50シリーズとRTX40シリーズが主流であり、RTX30以下の取り扱いはほぼ見かけない。
下二桁の数字は同シリーズ内でのグレード(序列)を表す
グレード | 性能 | 例 |
---|---|---|
90 | ハイエンドクラス 4Kゲーミング向け | RTX5090 RTX4090 |
80 | ハイクラス 4Kゲーミング向け | RTX5080 RTX4080 |
70 | ミドルクラス WQHDゲーミング向け | RTX5070 RTX4070 |
60 | エントリークラス フルHDゲーミング向け | RTX4060 RTX3060 |
50 | ローエンドクラス フルHDゲーミング向け 最低限の性能 | RTX3050 GTX1650 |
下二桁の数字は、同シリーズ内でのグレード(序列)を表す。RTX40シリーズであれば、RTX4090>4080>4070>4060という序列だ。
グレードは用途を表しており、実際にBTOなどでグラボを選ぶときは、グレードを見れば良い。例えばフルHDでゲームをするのであれば、RTX4060などが有力候補になる。
グレードを見てグラボの候補を絞り込むことで、スムーズなグラボ選びが可能だ。
末尾につくアルファベットの意味
接尾辞 | 意味 | 例 |
---|---|---|
Ti | 同グレード内で高性能なことを表す | RTX4070Ti RTX4060Ti |
Super | 既存モデルの置き換えモデルであることを表す | RTX4080Super RTX4070Super |
Ti Super | 既存のTiモデルの置き換えモデルであることを表す | RTX4070Ti Super |
どれも無印(接尾辞なし)より性能が高いことを意味している。RTX4070Ti Super > RTX4070Ti > RTX4070Super > RTX4070という具合だ。
例えばRTX4070Tiは、WQHD向けの70番台のグラボの中でも性能が高いことを表す。RTX4070SuperはRTX4070のアップグレード版であり、RTX4070は市場から消えていき、代わりにRTX4070Superが扱われるようになる。
NVIDIA製グラボの型番の読み方
読み方 | |
---|---|
NVIDIA GeForce | エヌビディア ジーフォース |
RTX4070Ti | アールティーエックス よんまるななまるティーアイ アールティーエックス よんせんななじゅうティーアイ |
RTX4070Super | アールティーエックス よんまるななまるスーパー アールティーエックス よんせんななじゅうスーパー |
RTX40シリーズ (RTX4000シリーズ) | アールティーエックス よんまるシリーズ (アールティーエックス よんせんシリーズ) |
型番からではわからない仕様の見方
専門用語が多いため、イメージしづらそうなところは例えを使って解説している。
仕様の見方を知っていれば、グラボを比較する際の役に立つ。
用語 | 意味 | 例 |
---|---|---|
プロセス | 半導体の回路幅。どれだけ細かく作り込まれているか。 数字が小さいほうが性能が高く電力効率が良い。 | 8nm |
CUDAコア | CUDAとは:NVIDIAが独自に開発した並列計算の実行環境。 グラボ上の作業員の数みたいなもの。 | 8704基 |
RTコア | レイトレーシング処理を行う作業員の数みたいなもの。 多いほうがレイトレーシング性能が高い。 | 第2世代68基 |
Tensorコア | 深層学習に特化した演算を行う作業員の数みたいなもの。 多いほどDLSS性能が高い。 | 第3世代272基 |
ベースクロック | コア(作業員)の作業スピード。 大きいほうが作業がはやく性能が高い。 | 1.44GHz |
ブーストクロック | コア(作業員)が本気を出したときの作業スピード。 大きいほうが作業がはやく性能が高い。 | 1.71GHz |
GPUメモリ | ベルトコンベアへの積載量のようなもの。 多いほどコア(作業員)の作業がはかどるため性能が高い。 | 10GB GDDR6X |
メモリクロック | ベルトコンベアが流れる速さのようなもの。 速いほど作業がはかどるため性能が高い。 | 19Gbps |
メモリバス幅 | ベルトコンベアの幅(本数)のようなもの。 広いほど作業がはかどるため性能が高い。特に4Kのような高負荷時に重要になりがち。 | 320bit |
メモリバス帯域 | 1秒間にベルトコンベアで流せる情報の量。 メモリクロック×メモリバス帯域(Byte)で求められる。(1Byte=8bit) | 760GB/s |
TDP | 設計上の最大放熱量≒最大消費電力 | 320W |
型番や仕様からわからない性能差は、ベンチマークスコアを見ればわかる
グラボ性能を数値化した「ベンチマークスコア」を見ることで、グラボの性能差を知ることができる。
例えばRTX4080とRTX5070はどちらが高性能なのかがわからない。世代で見ればRTX5070が高性能だが、グレードで見ればRTX4080が高性能だからだ。このような場合に特に役に立つ。
ただし、グラボのパフォーマンスは用途によって異なるため、ベンチマークスコアは絶対的な指標ではないことには注意したい。
型番からNVIDIA製グラボを選ぶ手順
型番の見方がわかれば、型番からグラボを選ぶことができる。
- 最新のRTX50シリーズを選ぶ(現在はちょうど移行期であり、RTX40シリーズの取り扱いもある)
- フルHDゲーミングなら60番台、WQHDゲーミングなら70番台、4Kゲーミングなら80/90番台から選ぶ
- 予算に余裕があったり、性能に余裕を持たせたいなら、Tiのグラボを選ぶ
グラボの詳しい選び方は以下のページで解説している。
›【初心者向け】ゲーム用グラボの選び方!性能の見方から目的別おすすめモデルまで徹底解説
まとめ:グラボの型番の意味を知り、スムーズなゲーミングPC選びをしよう
この記事では、NVIDIA製グラボの型番の意味や見方を解説した。
- NVIDIA製グラボの型番は、「等級」「シリーズ」「グレード」「接尾辞」の4つから構成されている
- 型番の意味が分かれば、型番から性能を比較したり、グラボの候補を絞ったりできる
- グラボの仕様やベンチマークスコアを見ることで、型番からは分からない性能を知ることができる
ゲーミングPC選びにおいて、グラボの型番の意味を知ることは非常に重要だ。グラボはゲーミングPCの性能を決めてしまうほどのパーツだからだ。
グラボの型番を読めるようになり、自分に適した性能のゲーミングPCを手に入れよう。
なお、このページで紹介したベンチマークスコアは、以下のサイトから引用している。
›https://benchmarks.ul.com/compare/best-gpus