BTOでのゲーミングPC購入を検討するときに、どんなBTOなのかが気になるのは当然だ。特にMDL.makeは新興のBTOであり、価格が妙に安いことを疑問に思う人は多い。
この記事では、MDL.makeがどんな独自性を持つBTOで、本当に怪しいのか、利用して良いのかを解説している。
MDL.makeがどんなBTOなのかを知り、自分に合っているのかどうかを判断したい人は必見だ。
MDL.makeの独自の特徴は価格へのこだわり
MDL.makeは、低価格にこだわっている新興BTOだ。特にセール価格は最安とまではいかないが、非常に安い。
一般的なBTOでは既に扱われていないような、古い世代のエントリークラスを扱っているのも特徴だ。性能こそ低いものの、低価格なラインナップを展開できている。
他社より高額な場合は値引き対応も行っていて、低価格へのこだわりが見える。
とにかく安さだけを追い求めたい人であれば、MDL.makeはおすすめのBTOだ。
MDL.makeの魅力を紹介
筆者が分析する、MDL.makeの魅力は以下の通り。
- ゲーミングPCの価格が安い
- 数年前の激安ゲーミングPCを扱っている
- 他社より高額な場合、値引き対応してくれる
- LINEでの相談に対応
ゲーミングPCの価格が安い
MDL.makeは安さをアピールしていて、実際に安めの価格でゲーミングPCを販売している。
以下は、常時セールのフロンティアと、BTO最大手のドスパラとの比較だ。
MDL.make | フロンティア | ドスパラ | |
---|---|---|---|
外観 | ![]() | ![]() | ![]() |
CPU | Ryzen9 9800X3D | Ryzen9 9800X3D | Ryzen9 9800X3D |
CPUクーラー | 空冷 | CPS RT400-BK (空冷) | ASETEK 624S-M2 (水冷) |
グラボ | RX9070XT | RX9070XT | RX9070XT |
マザーボード | AMD B650 | AMD B650 (MSI製) | AMD B650 |
メモリ | 16GB | 32GB(16GB×2) DDR5-5600 | 32GB(16GB×2) DDR5-4800 |
SSD | 500GB | 2TB | 1TB |
電源 | 1000W 80PLUS GOLD | 850W 80PLUS PLATINUM | 1000W 80PLUS PLATINUM |
価格(税込) | 352,800円 →312,800円(セール) | 299,980円 | 339,980円 |
MDL.makeはセール時の安さが売りと言える。通常価格に関してはドスパラに負けている。ドスパラも安い部類に入るBTOだが格安ではないことと、MDL.makeの構成はドスパラより明らかに劣っていることを考えると、MDL.makeの通常価格はむしろ割高だ。
セール価格に関してはドスパラより安く、格安の部類に入ることに間違いはないが、フロンティアには及ばない。フロンティアは長年の信頼と実績があり、構成面でも価格面でもMDL.makeに勝っているというのが正直なところだ。
›フロンティアの評判や独自の特徴、採用ケース&ゲーミングPC一覧を紹介
数年前の激安ゲーミングPCを扱っている
MDL.makeでは、Core i5-12400F×RTX3060のような、数年前のエントリークラスもいまだに取り扱っているのが特徴でもある。他BTOでは、旧世代のCPU・グラボはほぼ扱われていない。
古い世代のエントリークラスなので、新世代のエントリークラスより安く、価格だけで見ると最安のように見える。ただし最新ゲームを最高画質設定でプレイすることはできないと思っておいた方が良い。
とはいえ、最高画質設定にこだわらなければプレイ自体は可能なので、とにかく安いゲーミングPCが欲しい人にはマッチしている。
他社より高額な場合、値引き対応してくれる
MDL.makeでは、他社製品のほうが安い場合、LINEで問い合わせることで値引き対応をしてくれるそうだ。それほどまでに低価格へのこだわりが強いことが分かる。
LINEでの相談に対応
ゲーミングPC購入前には、CPUやグラボ、その他パーツに関して様々な疑問がわいてくる。PC初心者からすれば分からないことだらけだからだ。
LINEであればほぼ皆がアカウントを持っていて、気軽に相談できる。購入前の疑問や悩みを解消した上で購入できるのは大きなメリットだ。
MDL.makeの注意点・残念な点を紹介
筆者が分析する、MDL.makeの残念な点は以下の通り。特に2つ目と4つ目に関しては、「安い物には裏がある」ということを体現した事案と言える。
- 売り切れが非常に多い
- 採用パーツの詳細がわからない
- 運営元の過去の行いが悪い
- Windowsを不正に入手している可能性が高い
売り切れが非常に多い
MDL.makeはケースなどのラインナップが多彩だが、売り切れも多い。特にデザインの優れたケースを採用しているモデルはいつ見ても売り切れになっている印象だ。
採用パーツの詳細がわからない
MDL.makeは、採用パーツの詳細を公開していない。ケースだけは公開されているものもあるが、内部のパーツに関しては外部からはほとんどわからない。
どうやら自社製造のパーツを採用しているらしく、それが低価格の理由の1つとのことだ。実際に購入した人の話によれば、聞いたことがないメーカーのパーツが出てきたらしい。
PCのパーツは非常に繊細であり、基本的には何十年も専門的に製造してきたメーカー製のものを採用するのが一般的なことと、現在電源などを自社製造している他BTOも、初期の低品質時代から試行錯誤を繰り返して今の高品質があることを考えると、ポッと出のMDL.makeが自社で製造しているパーツの品質は、少なくとも現状では疑わしいというのが本音だ。
加えて、カスタマイズ画面に関しても情報が少なすぎる。例えばメモリがデュアルチャネルなのかどうかすら記載されていない。一般的なBTOであれば当たり前に記載されている情報がないことも、信頼性に欠けると感じる理由となってしまう。
運営元の過去の行いが悪い
MDL.makeの運営元は「メタデータラボ株式会社」という、2018年に設立された企業だ。この企業について調べてみると、「他人が創った制作物を、自分の実績のようにアピールして仕事を受けようとしていた」という過去があることがわかった。
›https://rokustar.com/blog/archives/1145
BTO事業には関係のない事案ではあるが、過去にこういった明らかな不正をしていた企業を信頼できるかと言われると難しい。悪さをしていた企業だというのは利用前に知っておきたい。
Windowsを不正に入手している可能性が高い
MDL.makeを利用するにあたって最大の懸念事項は、Windowsの不正入手問題だ。Windowsは高額なので、非正規版が横行しているという現実は実際にあり、珍しい話ではない。
100%不正だと言うことはできないが、信用問題としてかなり重要なことなので、ここで紹介しておきたい。
COAラベルが貼られていない
COAラベルとは、Windowsが正規品であることを示す購入証明のラベルだ。一般的なBTOでは、PC本体の側面などにラベルが貼られていて、Windowsのプロダクトキーが記載されている。
しかし購入者の話によれば、MDL.makeのゲーミングPCにはCOAラベルが貼られていない。つまりWindowsが非正規品である可能性が非常に高い。
PC本体に貼っておくことで、「このPCに入っているWindowsは正規品です」という証明になるため、正規品であればラベルを貼らない理由がないのだ。
標準でWindows Proを搭載
MDL.makeでは、本来は企業用であるWindows Proを標準で搭載していて、家庭用であるWindows Homeを選ぶことすらできない。Proは企業用にセキュリティ機能などが充実しているのだが、その分Homeより7~8,000円ほど高く、2万円以上の価格だ。
冷静に考えると、安さを謳うBTOがなぜ高額なProしか選べないようにしているのか。家庭用であればProの機能は一切必要ないため、安いHomeを採用するのが普通だ。
知恵袋にいた購入者によれば、MDL.makeのWindows11 Proはリテール版らしい。
›https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10315327285
リテール版は、パソコンAからパソコンBに移動させることが可能(パソコンAでは使えなくなる)だ。Windowsが正規版だとすると、COAラベルがないということは、販売しているのはパソコンBのほうということになる。しかし、なぜわざわざWindowsを移動させて販売しているのかという疑問が残る。
つまり、もともと企業用のパソコンAで使用しているWindowsを違法コピーし、パソコンBに入れて販売しているのではないかという推測が成り立つ。
初期設定が完了済み
MDL.makeのゲーミングPCはWindowsの初期設定が既に完了している。一見手間が省けて嬉しいように思えるが、まともなBTOや販売者であれば、初期設定には手を付けない。
初期設定とは利用規約への同意やユーザー作成など、PCを使う本人が設定すべきものだ。しかも初期設定完了済みということは、言ってしまえば中古品と同じであり、極論ではあるが、ユーザーを監視したり、ウイルスを仕込んだりすることも可能となる。実際にそのような悪事をやっているやっていないにかかわらず、初期設定完了済みというのは、アピールするようなことではないのだ。
要するに、不正なWindows認証を行うために、初期設定完了済みにしている可能性がある。ここまでの内容をすべて踏まえると、その可能性は高いと言える。
MDL.makeの評判を紹介
筆者がクラウドソーシングサービスを使って、MDL.makeを利用したことがある人のレビューを集めた。しかし新興のBTOということもあって、1件のポジティブなレビューしか得られなかった。
ポジティブな評判
とても満足できました
fpsゲームをするために買ったのですが、ヌルヌル動いてくれて満足です。他のBTOより2万くらい安く買えたので、コスパが良いと思います。
筆者が集めたレビューは以上の1件だが、知恵袋やSNSなどを見る限り、価格に対する高評価がほとんどを占めている。
ネガティブな評判
ネガティブな評判を集めることはできなかったが、ネットを見る限り、数か月で壊れたという声が一定数見られる。2025年6月時点でのMDL.makeの販売実績は約15,000台であることを加味すると、故障報告が多いようにも感じる。
MDL.makeはとにかく安さだけを求めたい人におすすめ
MDL.makeは特にセール対象品に関してはかなり安い部類だ。他社より高価格な場合に値引き対応をしてくれるのであれば、価格面では非常に優れていると言える。
しかし一方で、企業の前科や悪事疑惑、パーツの品質など、気になるところが多すぎる。筆者としては、信頼性に欠ける情報が多すぎるように感じるため、MDL.makeでは購入せず、信頼と実績が既に積みあがっている別のBTOで購入するというのが本音だ。
とはいえ、中には信頼性を重視しない人や、価格を何より重視したい人もいるはず。そういった人であれば、格安のMDL.makeを選ぶと良い。
MDL.makeに関するよくある質問と回答
納期はどのくらい?
即納モデル以外だと、注文・入金から14営業日で出荷される。
BTOは受注生産なので、1週間ほどかかるのは一般的だが、14営業日はやや長い。MDL.makeは非常に規模が小さいため、人手が少ないからだろうと思われる。
繁忙期には30日ほどかかることもあるようだ。
分割払いはできる?
クレジットカードとPaidyで分割払いが可能だ。クレジットカードの場合は最大24回払い、Paidyの場合は最大12回払いとなる。
MDL.makeは国内のBTO?
MDL.makeはメタデータラボ株式会社という、大阪の企業が運営するBTOだ。
と、MDL.makeの公式サイトの運営者情報や特定商取引法に基づく表記には記載されているのだが、プレスリリースなどでは、株式会社モダンデザインという鹿児島の企業がMDL.makeを運営していると記載されている。モダンデザインの公式サイトを見ると、MDL.makeを運営していると書かれているので、「ではメタデータラボ株式会社は何?」となる。
何が何だか分からないが、このようなところも不信感の一因だ。
まとめ:安さだけならMDL.make
この記事では、MDL.makeがどんなBTOで、本当に怪しいのかを中心に紹介した。
- MDL.makeは安さだけが特徴のBTO
- セール品は安いが最安ではない。値引き交渉によって値引きされるかも?
- MDL.makeは信頼性に欠けるというのが筆者の本音だが、価格だけしか気にしない人にとっては魅力的なBTO
低価格で高品質ということはこの世であり得ず、低価格には低価格なりの理由がある。それを理解した上で、安さに魅力を感じる人だけに、MDL.makeをおすすめする。